『壜の中のメッセージ』を、ぼくは楽しみながら書いた。
 ロックが好きだったので、ごくシンプルに好きな曲をモティーフにして、自分自身が経験したアルバイトや友人達の間で実際に起こったことを散りばめていくと、物語は勝手に出来上がっていった。深刻なテーマなんてものは存在しなかったが、青春特有の悲しみの気配は感じていたように思う。若いというただそれだけの理由で、不思議なことだが、誰もが悲しみを抱えることになる。
 青春というものは、思うに、バトンタッチされていくのではないだろうか。ミック・ジャガーやエリック・クラプトンの青春はスティングやジョー・ストラマーに、そしてスティングやジョーの青春はぼくらにバトンタッチされたのだ。もしもこの一冊の小説が持っている何かが、今の青春にバトンタッチされていくのなら、嬉しい。
 どんなにみじめでカッコ悪い、いわば酷薄な青春も、実はその内側では輝かしい光を放っており、その光は、暗い夜の中で進むべき道を照らすカンテラのように次代の青春を呼んでいるのだ。

新風舎文庫版「あとがき」より