| 第5章 ディラン・トーマスに戻っていく、ブリティッシュ・ロック |
ディラン・トーマスの作品が持っている素朴さ、緑滴る自然への憧れ、日常生活の裂け目から垣間見ることのできる神秘。それとも、神秘を信じる心の動き方。それらは、ケルトの文化からきているのだろう。
ケルト人はイギリスのウェールズだけではなく、現在はスコットランド、アイルランド、フランスのブルターニュ地方にのこり、農業や牧畜に従事している。
彼らは、キリスト教に改宗させられる以前は、ドルイド教と呼ばれる宗教を信じていた。霊魂不滅や輪廻を信じ、祖先を崇拝する宗教だったらしい。
そうした文化的な背景のなかからディラン・トーマスの作品が生まれ、イギリスの階級社会からいわばドロップアウトしたロック・ミュージシャン達がそれを愛読するというのは面白い。
もっと言うなら、そこには懐かしさを超えた何かが存在するのだ。ロックという音楽を抱えて神秘の扉の前に辿り着いたミック・ジャガーやレイ・デイヴィスが、そいつを勇気を出して押し開けるためにディラン・トーマスの言葉を欲しているのである。