| 第1章 過激でイノセントな子供達のリレー |
Appleが売れまくり、コンピュータというものの概念をひっくり返そうとしていた70年代後半、ジョブスとウォズニアックはビジネスマンとエニジニアである前に、若い世代のカリスマだった。シリコンバレーの生きた神話だった。二億ドルの資産を抱えるコンピュータ会社のトップに君臨していた頃、彼らはIBMの経営者達よりは、むしろミック・ジャガーやキース・リチャーズに似ていたのである。キャンディカラーのiMacが登場した時に、テレビコマーシャルの音楽にストーンズの<シーズ・ア・レインボウ>が採用されたのは、偶然なのではない。
iMacの成功で、経営危機が伝えられたアップルコンピュータは復活した。ジョブスは、言いたかったのではないだろうか。iMacという最先端のマシンの向こうには初代のMacintoshが存在し、さらにAppleが存在する。その向こうではもちろんヒッピー・カルチャーが呼吸し、それを可能にしたのがストーンズなのだ、と。iMacという名前のパーソナル・コンピュータは、そんな輝かしい不良少年達の魂のリレーの果てに、ここに存在するのだ。そいつを使うということは、大袈裟な言い方かもしれないが、ボードレールをトップランナーとするリレーに、あなた自身が参加するということなのである。