『歓喜の歌』の感想 no.1

読者の皆さんから寄せられた感想です。
メールくれた皆さん、どうもありがとうございました。
◆マークはぼくの返信です。

名前= FTO使い
性別= Men
年齢= 33
好きな場所= 夜の海辺
山健の最近作で好きなもの= ジーンリッチの復讐(メディアファクトリー)
どんな本を読みたいですか?=長編小説
感想=今読み終わりました。本の帯にエンターテインメント文学の決定版!って書かれていたので正直とまどいましたが、一気に読むことができました。俺的には山川健一にしか描けない純文学の決定版って感じでした。
 訳ありの女に出会って恋に落ちるっていうのは山健ワールドらしかったですが、主人公の高村がやれないっというのは非常に新鮮でした。でも最後には高村になりきっていた自分がそこにいました。
 感想文を書くのは小学校から苦手ですが、次回作以降もめげずに書かせていただきます。
◆FTO使い君の観想が最初に届いたんだよね。どうもありがとう。ぼくも感想文や作文は小学校の頃から苦手で、その頃「おみやげ話ノート」ってのがあって、毎日放課後に書かなきゃならなかったんだ。「今日もいつもと変わらないふつうの日でした」って毎日書いていて、先生に叱られたことがあるよ。

名前= HN
性別= Men
年齢= 28
好きな場所= 夜の海辺
感想=長々と書くと分析になってしまいがちなので、まず は短めに。
読み終えた直後、ああ、やったな、山川さん。 と思いました。
ラストの沙希の手紙がすごい。
なんというか、浜崎あゆみの歌詞みたい。 (通じにくいと思いますが賞賛してます)
浜崎あゆみの「Voyage」という歌のラストがこんな歌詞で終わっているんです。

僕たちは幸せになるためこの旅路を行くんだ
ともに行こう 飽きるほどに

この歌詞の最後の「飽きるほどに」が重要で、いま日本に生きている人たちは、幸せになるために旅路を進んでいくと「飽きる」ということに、すでに気がついてしまっているんです。それを、「飽きることがわかっていても、ただ一緒にいることが幸せなんじゃない?」と伝えているから、浜崎あゆみはいまの時代をきちんとすくっていると僕は思うんです。しかも「あなたと」とは言っていない。「僕たち」つまり聞き手が真っ先に想定する人と「一緒に飽きていこうよ」というメッセージ。それはもう、恋や愛やセックスから離れて、あるいは解き放たれて、ただそこに聞き手が真っ先に想定する人が存在することだけに幸せを見つけようと言っている。
沙希が書いた手紙は、まさにそれと同じだと思いました。
傷は癒えないかもしれない。でも楽になることはできる。
それは自分と通じ合える他者の存在によってのみ可能だ。
じつは僕、山川さんの作品で泣いたことは一度もなかったんですが、今回は初めてほろりときました。涙もろくなっているということもあるのですが。歳とったのかな?
ただ、そこに希望があるのか? まだ僕にはわかりません。なんか、もっと人間ってどす黒いようにも思いますね。その幸せに人間は留まれないんじゃないか。だから、山川さんが言う「階段を下りていく必要性」を感じていても、降りていく勇気がもてないのではないか。そういう感覚を、自分のなかにもときどき発見しますし。そこのところは次回作でお願いしますね。
浜崎あゆみ? 今度、聴いてみるよ。あのファッションはすごく好きなんだけどさ。でも、ぼく自身は「飽きる」暇なんてないと思ってます。それから、階段を下りていく勇気は、非常に大切なものだというのがぼくの意見です。

名前= Hayashi
性別= Men
年齢= 35
好きな場所= 都市のバックストリート
山健の最近作で好きなもの= ジーンリッチの復讐(メディアファクトリー)
どんな本を読みたいですか?= 長編小説
感想=健さんの本はほとんで読んでいて、ストーンズも『ローリング・キッズ』で知って、でもぼくは文章のほうが好きでなかなかストーンズをきちんと聞くこともなかったのですが、最近、ようやく凄さがわかりました。
 印象派の絵やマックや自動車や、ストーンズやブルース、ランボーやヘンリー・ミラー、それから『死ぬな、生きろ』ではなんというか、生き方まだ習ったような気がします。きっとそう言われることが多いでしょうが、健さんにとってのミック・ジャガーが僕にとっての山川健一です。ぼくは読書家というわけではぜんぜんなくて、本は山川健一のものしか読まないのです。教科書というか。
 それで、ひとつ気になったのは、ニューヨークのテロの時は健さんはサイトや雑誌でいろいろなことを発言されていて、ぼくはそれを手当たり次第読んでました。友達に、健さんが言っていたことを受け売りしたりしてました。でも今度のイラク戦争については、「宛て名のない手紙」でちょっと触れるぐらいで、僕は山川健一に反戦の旗手になってほしいわけではないけれど、なんで何も言わないのかなと不思議でした。
 でも『歓喜の歌』を読んで、その理由がわかったような気がします。
 うまく言えませんが、これだけ大きな流れになっちゃうと、自分を見失わないように小さなものを見つめるべきだ、というようなことですよね?  こんな時代だけど、みんなせつないぐらい真剣に生きてる、そういう小説だと思いました。
 頭の上を戦争が通り過ぎ、金融崩壊が通り過ぎ、でもちゃんと生きてるんだ、と思います。浜尾が沙希に電話するところ、はっきり言って泣きました。
 健さん、『歓喜の歌』最高!
 ぼくは『ロックス』や『水晶の夜』以上に好きです。
正直に言うと、「健さんにとってのミック・ジャガーが僕にとっての山川健一です」ってのは、たまに言われます。その度に襟を正す気分だよね。イラクの戦争については、「こうなることは911の時に既にわかっていたことじゃないか」というのがぼくの感想。アメリカ合衆国では、FOXやCNNや新聞などのジャーナリズムのありよう、ブッシュの選ばれ方にまで遡って、民主主義なんてもう死んだと思う。あまりにも事が重大すぎて、口が重くなっちゃうんだよね。「自分を見失わないように小さなものを見つめるべきだ」という言葉は、胸に染みるよ。

名前= Hiromii
性別= Women
感想= 山川さんは、この小説のタイトルをキースに会ったときに決めたんですね。
『歓喜の歌』の刊行、ほんとうにおめでとうございます。
 12月に本を予約注文しておいたのですが、土曜日になっても連絡がこないので、 大きい本屋さんに行って買ってきてしまいました。その日の夜にいっきに読み終えて 快い眠りにつきました。とてもよかったです。翌日も小説の余韻に浸っていました。 感想をメールしようと思うのだけど、なかなか言葉が出てこなくてぼうっとしていま した。
 沙希と出会い、沙希を救うことで、高村は時田と友情を深め、いろいろな人間と関 わっていき、自分を受け入れ、救われてゆく……。心を広げて接すれば人と人との温 かな交流が生まれる。セックスとは心と心を交換すること。肉体と精神が傷付いてい ても心と心で愛し合うことができる……わたしには沙希も高村も天使のように感じら れました。1回読んで、また読み直していくうちに、沙希や高村や坂之上や時田や麻 丘や浜尾の言葉に涙がこぼれてきてしまいました。みんな体のなかに温かな血を通わ せているんですね。
 人は人に傷つき人によって救われる。人間は貪欲で恐ろしいこともするけど、自然 と調和して輝きを放す力のようなものももっていて、人間てすばらしいな……と思え る瞬間もあり、人と人との結びつきに希望をもちます。
 わたしがべートーヴェンの第九交響曲をちゃんと聴いたのは、数年前で、何度か耳 にはしていましたが、そのときはじめて感動しました。シーラの『歓喜に寄せる』詩 も、べートヴェンによる改訂版しか知らないのですが、そのとき知りました。シーラ の詩を初めて読んだとき、前半の部分は高村のようになんだかズキッとしたのをおぼ えています。本を読み終えて、ふと、シーラの詩を読み直してみると、前半の部分は そんなに気にならず、最後まで読んでみてあらためて詩の意味を深く感じることがで きたような気がしました。
 山川さんの『歓喜の歌』はまさに“歓喜の歌”だな……と思いました。
 小説とはあまり関係のないことなのですが、御茶の水駅までのなだらかな坂道や山 の上ホテルとかでてきて、画材を買いに神保町を訪れたとき、あの街の雰囲気がなん となく好きになり、また足を運びたいな……と思っていいたので、小説のなかにでて きたとき、あれ……不思議だな……と思いました。
 本の装幀も素敵ですね……。
 とても楽しく読みました。
心を広げて接すれば人と人との温 かな交流が生まれる、まったくその通りだね。そういう関係を、ひとつずつ増やしていかないとね。

名前= Naomi
性別= Women
年齢= 37
好きな場所= 夜の海辺
山健の最近作で好きなもの= 僕らに魔法をかけにやってきた自動車(講談社)
どんな本を読みたいですか?= 短編小説
感想= 発売日にすぐに本屋へ走り一気に読んでしまいました。最近の山川さんの小説には人を殺さずにはいられない人が主人公なのが多い気がします。たぶんどんな人にもニゴリがあって、それが時に黒曜石になることもある。そしてニジノセカイに憧れてる。だけれど、ぎりぎりのところでみんな踏みとどまっている。それは「意志の力」なのか。今度はぎりぎりのところで踏みとどまっている主人公の小説が読みたいです。それから、面白みには欠けるかもしれませんが、大きな孤独を抱えた男を小さなニゴリを持った女が、あるいは大きなニゴリを抱えた女が小さな秘密を持った男が包み込んだ方が希望がもてたのではないでしょうか。「山川健一が変わった」とするなら明恵上人から親鸞に変わったのでしょうか。悪人正機説を思いました。
ぎりぎりのところで踏みとどまる、それがむずかしいのが今の時代だと思います。制度というものから、多くの人達がこぼれ落ちていっている今、でもそういう小説が書けたら素晴らしいことだね。トライしてみるよ。

名前= My name is Taisuke Ebinuma.
性別= Men
年齢= 31 years old .
好きな場所= 都市のバックストリート
山健の最近作で好きなもの= ニュースキャスター(幻冬舎)
どんな本を読みたいですか?= 短編小説
感想=  相手を愛おしく思う時に、同時に心の片隅に立ち上がってくる 自分が相手に必要とされているだろうかという不安や、自分がいかに無力かを思い知らされる瞬間。 その反面、お互いに気持ちが通じ合っている時の、天国への階段を登っているような気分が すごく丁寧に表現されていると思いました。
 取材の成果である、債権等の説明も、非常に的確で、ストーリーを深化させるのに成功している。
誰かを好きになると、誰もが「自分が相手に必要とされているだろうかという不安」を抱えることになる。でも、自分が相手を必要としている、という事実は変わらない。究極の恋愛は、だから犯罪に似ているんだと思うね。ストーンズの夜、Ebinumaの話はすごく知的で面白かったよ。またオフ会やろうな。

名前= yoko
性別= Women
年齢= 28
好きな場所= 自分もしくは恋人の部屋
山健の最近作で好きなもの= ニュースキャスター(幻冬舎)
どんな本を読みたいですか?= 長編小説
感想= 以前、山川さんがメルマガで「情報を求む」という告知をされた時、メールした者です。私の恋人が、主人公と同じような問題を抱えていて、そのこについて書いたのですが、覚えていらっしゃいますか? 読むのは、正直に言って、とても不安でした。つい、私達自身のことを重ねてしまうので。本屋さんに本が並んでいるのを、最初は遠くから見てました。決心して買って、読んで、涙が止まりませんでした。読んでよかった。最後に彼女が書いた手紙、感動しました。彼にもかしてあげて、彼も読んだようです。お花見につれていってくれて、そこでかしたあった本を返してくれました。その時、大勢人がいるのに、キスしてくれました。性はないけれど、彼とずっといっしょにいたいと思います。希望を書いてくれて、ありがとうございました。
あの時は、メールどうもありがとう。返事も出さずに、ごめんなさい。でも「歓喜の歌」を執筆している間、頭のどこかにずっとyokoさんの言葉がありました。感謝しています。彼によろしくね。

名前= JN
性別= Women
年齢= 28
好きな場所= 朝の光がさす高原
山健の最近作で好きなもの= ニュースキャスター(幻冬舎)
どんな本を読みたいですか?= 長編小説
感想=「歓喜の歌」読みました。
ゲットした日、結局読み終わり、そのまま仕事に出かけてしまいました。 いつもなら途中でいったん閉じて、仕事から帰ったら、また本を開く、と なるはずだったんですけれども・・・。
途中でおしまいにすることができませんでした。
そうですね、途中かなりヘヴィーでした。
実際吐きそうになってしまい、いったんお茶を入れたりしたんです。
そうやって休み休みだけれど、一気に読んでしまいました。
読後感はよかったです。
「ニュースキャスター」よりも、私は今回の方が素晴らしいと思います。
こっちのほうが好きですね。
巻頭に、スティングの歌詞が引用してありましたね。
そう、確かにエイリアンですね、ストレンジャーではない。
とっさにドアーズを思い浮かべましたが、でもやはりスティングでした。
読み終えた後、そう思ったんです。
スティングはいいね。執筆している時、よく聴いてたよ。ソロになってからのスティングはずっと聴いてなくて、偶然最近作を聴いて、体が震えたよ。あまりにも素晴らしくてさ!

名前= keiko
性別= Women
年齢= 34
好きな場所= 自分もしくは恋人の部屋
山健の最近作で好きなもの= ジーンリッチの復讐(メディアファクトリー)
どんな本を読みたいですか?= 長編小説
感想= 『歓喜の歌』は最高でした。勇気づけられた。嬉しかったし、「ありがとう」と言いたくて感想を送ることにしました。作者の山川さんに恋しちゃいそうです……って、きっとあちこちで言われてる? また少しして、つらい時とかに、この本を読んでみようと思います。
こちらこそ、読んでくれてありがとう。恋しちゃいそう、なんて最後に言われたのはもう10年ぐらい前の話だよ。いや、ほんと。

名前= FLY
性別= Women
年齢= 健さんと同年代だよ
好きな場所= 朝の光がさす高原
山健の最近作で好きなもの= 死ぬな、生きろ。(小学館)
どんな本を読みたいですか?= 短編小説
感想= 最後の章というか、エピローグに救われました。こういうのを書くようになったんだなと、感慨があります。デビューされた頃からずっと読んでいるものですから。
感慨? うん、ぼくも。これからも、暖かく見守ってね、って甘えすぎ?

名前= JH
性別= Women
年齢= 25
好きな場所= 夜の海辺
山健の最近作で好きなもの= 死ぬな、生きろ。(小学館)
どんな本を読みたいですか?= 恋愛ものだよ
感想= 山川さんは優しい。会ったことないけど、本を読めばわかる。わたしは、マックの本で山川健一を知って、それからエッチな小説読んでちょっとひいて、でも作品集で、「鏡の中のガラスの船」を読んで、ガーンて感じでした。もっと早く読めばよかった。せめて学生時代に読めばよかった。そうすれば、自分の選択肢が増えていたのに、と思いました。わたしはあの時代に憧れをもっているので、痛々しく、透明で、そして力強いあの小説にすっかり入り込んでしまいました。『歓喜の歌』がいちばんうれしいのは、山川健一をリアルタイムで読めたことです。この空気のつながったところにこの小説を書いた山川健一がいるんだな、って感じ? こうしてメールを送ると本人に届くのって、不思議です。なにかのエッセイで読んだけど、女性を書くのがヘタだって謙遜されてましたが、そんなことないですよ。沙希は女というもののすべてを持っているような気がします。はやく次の本が読みたいです。
エッチな小説って、きっと携帯で連載してる「黒革と金の鈴」のことだよね? あれは、最後まで読んでもらえると、ただのポルノグラフィじゃないってことがわかってもらえると思うけどな。ぼくが書きたい小説の主人公は、ミック・ジャガーのように最後まで頑張りきる奴と、トム・ウェイツ(「グレープフルーツの月」のシンガー)のように悲しみを必死に堪えてる奴と、その両面を持っているキース・リチャーズみたいな奴。「黒革と金の鈴」の主人公は、トム・ウェイツで、「歓喜の歌」の主人公は両面を持っているキースみたいな男だ、とぼくは思ってるんだ。そうそう、優しい男であるよう、努力します。

名前= S Yamada
性別= Men
年齢= 17
好きな場所= 都市のバックストリート
山健の最近作で好きなもの= 死ぬな、生きろ。(小学館)
どんな本を読みたいですか?= 短編小説
感想= 昨年の夏から、山川さんの小説やエッセイを読ましてもらっていますが、 今回の「歓喜の歌」も小説集「Rocks」や「Angels」の中の小説も、 時間のあるときに読み進めないと、ストーリーの魅力の中にも難しさが あって分からなくなってしまうので、夜寝る前に一気に読むようにしています。 今! 山川文学に、ハマっています!!
17歳? マジで? 「歓喜の歌」、ちょっと早くなかったかねえ。でも、読んでくれてありがとう。ぼくの書くものは、伏線があったり象徴的な言い方が出てきたり、現代文学のなかでもけっこう難しいほうだと思うよ。なるべく易しく書こうとは思ってるんだけど、難解になっちゃうんだよね。でも、世界の地図を読み解くつもりで眺めてみると、きっといろいろなことが見えてくるはずだと思います。学校、遅刻しないでね!

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★引き続き感想をお待ちしております。山川健一