『歓喜の歌』の感想 no.3

読者の皆さんから寄せられた感想です。
メールくれた皆さん、どうもありがとうございました

◆マークはぼくの返信です。

名前= jac
性別= Men
年齢= 30
好きな場所= 都市のバックストリート
山健の最近作で好きなもの= ジーンリッチの復讐(メディアファクトリー)
どんな本を読みたいですか?=長編小説
感想=ぼくはこの小説の主人公と同じように、事情があってセックスができません。小さいわけじゃないけど、事故にあって。それなのにロックが好きで、でもやれもしないのにロックだなんて、と思い悩む日々でした。「歓喜の歌」を読んで、ぼくのなかで山川健一はミック・ジャガー以上の存在になりました。どなたかも「感想」の欄で書いておられましたが、「歓喜の歌」はぼくのなかで「水晶の夜」以上に大切な小説です。
◆ストーンズの「サティスファクション」に「アイ・キャン・ゲット・ノー・ガール・リアクション」という歌詞がある。つまり「俺は女の子をイかすこともできない」ということだよね。この歌詞は、ロックとか性というものを象徴していると思う。女の子をイかすことができるというのが、男の性的なアイデンティティだったんだと思う。ロックが体現したのは、俺は金もないし、社会的な地位もないけれど、女の子をイかすことができるという価値だった。でも、世界は変わった。たとえば、奥さんとSEXできなくなる夫って多いでしょう。セックスレスのカップルも多い。みんな同じだよね。そういう意味で、「歓喜の歌」の主人公は、僕ら全員の分身なんだと思う。だから僕は、あいつをすごくかっこよく書きたかった。つまりそういう男でもかっこいいんだということを証明したかった。

名前= kayo
性別= Women
年齢= 30
好きな場所= 自分もしくは恋人の部屋

山健の最近作で好きなもの= 死ぬな、生きろ。(小学館)
どんな本を読みたいですか?= 長篇小説
感想=健さん、こんにちは。新しい小説が読めてとても嬉しいです。 本の帯に「エンターテイメント小説の決定版」と書かれていましたが、どちらかというと「安息の地」以前の小説に近い匂いがしました。 久しぶりに性愛に関することが大きく描かれていたからかもしれません。 金融崩壊、環境ホルモン、癒すことの出来ない傷、、、。これでもかっ、というほどに現在の様々な問題が取り上げられていましたが、読んだ後に心が塞ぐことはありませんでした。 「歓喜の歌」を読んで、あらためて健さんは本当に優しい人、もしくは優しさをなくさないよう努力されている人だと思いました。「優しい」なんて言うととても安っぽく聞こえるかもしれませんが、心からそう思います。 最近ぼんやりと考えます。生きていく中で本当に大切なものなんて、きっとたった一つか二つなんだろうって。たくさんのものを失くしても、一つか二つの大切なものを守る優しさがあれば(または見つければ)、そこに希望が生まれてくるのかな。そしてその優しさを他者に向ければ、またそこに新しい希望が生まれてくるのかな。ちょっと優等生すぎるかな?でも、斜めに構えたり、自分を取り繕っている時間はないからね。 毎日毎日悲惨なニュースを見ながら、人の持つ優しさから生まれる希望とその希望が無限の可能性を秘めていると願ってやみません。
ぼくはkayoちゃんを、ずいぶん前から知っていて(数度しか会ったことはないけどね)、その時々に手紙やメールをもらってるけど、まだほんの子供って感じだったのに、素敵な大人の女性になったんだなあと、感慨深いものがあります。感想メール、どうもありがとう。

名前= kiyota
性別= Men
年齢= 32
好きな場所= 都市のバックストリート
山健の最近作で好きなもの= ジーンリッチの復讐(メディアファクトリー)
どんな本を読みたいですか?= 長編小説
感想=健さんの本で、「鏡の中のガラスの船」は、ドストエフスキーの「悪霊」みたいだな、と思います。「水晶の夜」は「未成年」的なコンプレックスと「カラマーゾフの兄弟」で扱われたような宗教的な問題が扱われていました。そして、今度の「歓喜の歌」は、まさに「罪と罰」です。とうとう山川健一は「罪と罰」を書いたんだな、と思いました。とくに最後の救いの感覚、開放感は現代の「罪と罰」だと言っていいのではないでしょうか。しかし、ドストエフスキーと行き方が逆コースなのがおもしろなと思います。いずれにしても、ストーリィがどうのこうのというのではなく、読後感が、健さんの小説はドストエフスキーっぽいなと思ってます。ちなみに、ぼくは学生時代、露文科でした。
ドストエフスキーは十代の頃読書会で全集を読んで、学生新聞にドストエフスキー論を連載していたこともあります。「安息の地」を書く時に「罪と罰」と、それからカポーティの「冷血」を読み返したりしたけど、「歓喜の歌」では特にドストエフスキーを意識したつもりはないんだ。でも、やっぱり影響を受けているのかもしれないね。

名前= MS-and
性別= Men
年齢= 28
好きな場所= 夜の海辺
山健の最近作で好きなもの= 僕らに魔法をかけにやってきた自動車(講談社)
どんな本を読みたいですか?= 短編小説
感想=「エンターテイメント文学」というのがよくわからなかったが、書店で『歓喜の歌』がおかれている書棚を見て妙に納得・・・。ほめ言葉になるかどうかわからないけれども、とてもバランスがいい作品だと思った。変に思想に偏ることもなく、描写の激しさで文体に踵をきかすこともなく、というのが僕の素直な感想です。 ただ、僕自身はこの歳でセックスやキスさえ経験なく、そのことをとてもコンプレックスに思っている人間なので、愛とセックスというテーマにはとても惹かれた。僕はこの作品の登場人物たちのような、恋愛はできない。
あとがきに「性が困難な時、なにを信じればいいのだろうか」という文章があるのを読んだあるインタビュアーの方が、金を払えばなんでもできる今の時代、セックスは簡単ではないのか、と言っていました。でも、お金が介在するセックスのすべては男達の一種のファンタジーだし、一方、女性達は溢れる性情報のなかでオーガズム・コンプレックスに陥っているようもぼくには思えます。恋愛は、エゴイスティックに相手を求めるのではなく、お互いに男女である前に同じ人間なんだという場所からスタートすると、案外うまくいくものだよ。

名前= monkeyman
性別= Men
年齢= 31
好きな場所= 自分もしくは恋人の部屋
山健の最近作で好きなもの= ニュースキャスター(幻冬舎)
どんな本を読みたいですか?= ストーンズやブルースなどロックエッセイ
感想= 救われたような気分になる結末が嬉しかったです。沙希も高村も歪んで欠けているけれど、二人がお互いに相手の歪みや欠落を認めあって、そこから相手をかけがえのない存在として受け入れること。そのことがとても素晴らしく思えました。健さんがよく言われる「階段を降りていく勇気」ってそんなところから生まれてくるのかなー?
ボーヴォワールが、かつて『第二の性』という本を書いたけれども、僕たち全員が『第三の性』という、限りなく個人的な自分の本を書いくべき時なんだと思う。歪んでいても欠けていても、それでバランスがとれていればOKなんだと思うな。

名前= kazu
性別= Men
年齢= 33
好きな場所= 夜の海辺
山健の最近作で好きなもの= 僕らに魔法をかけにやってきた自動車(講談社)
どんな本を読みたいですか?= ストーンズやブルースなどロックエッセイ
感想= まだ一回しか読んでいないけど、良かったです。暗く重い過去を通り抜けて生きる希望を見つけ出していく沙希や高村に胸が熱くなりました。特に最後に沙希が高村を受け入れるエピローグには感動しました。なんというか、以前『罪と罰』を最後まで読んだときの感動を思い出しました。
そうだね、kiyotaさんも同じような意見みたいだけど、言われてみると確かに『罪と罰』っぽいかもね。

名前= yukari
性別= Women
年齢= 28
好きな場所= 自分もしくは恋人の部屋
山健の最近作で好きなもの= ニュースキャスター(幻冬舎)
どんな本を読みたいですか?= 長編小説
感想= 透明な悲しみに包まれ、息もできないような時間のなかで読み終えました。涙が止まりませんでした。「それが樹木とわかった時に、人は言うだろう。」というところ、静かな思いやりが伝わって来て好きです。
どうもありがとう。

名前= HO
性別= Women
年齢= 52
好きな場所= 朝の光がさす高原
山健の最近作で好きなもの= ニュースキャスター(幻冬舎)
どんな本を読みたいですか?= 長編小説
感想=「歓喜の歌」読みました。お金の問題やセックスの問題など、現代の縮図のようなエピソードがたくさん出てきて、書き方によってはあざとい小説、仕掛けに負けてしまうような小説になりかねないところを、よくこんなにまで美しい物語にされたなと思います。これは、山川さんの心がきれいだから。こんなに透明感のある美しい小説が書ける作家は、今の日本に他にはいません。やはり山川健一さんは、太宰治のように、心というものを含めて、天賦の才能をお持ちなのだと思います。登場人物達の悲しみが透き通っていく様を見ながら、読者である私の心も浄化されていくようでした。いつかまた、読み返してみようと思います。
HOさんの言葉を胸に刻み込み、次作にとりかかりたいと思います。

名前= YM
性別= Women
年齢= 42
好きな場所= 夜の海辺
山健の最近作で好きなもの= 死ぬな、生きろ。(小学館)
どんな本を読みたいですか?= 短編小説
感想= 山川さん お久しぶりです。 新刊の『歓喜の歌』、山川さんからのメッセージが底流に流れていて、悲しいけれども美しい物語だと思いました。 沙希は現代のマリアなのかなあ、という気がします。 弱くて、罪深くて、けれども本当に美しい魂をもっていて。 高村の台詞で「君の魂をすぐ近くに感じる」ということばがありましたが、感情とも理性とも違う「魂」というものはあると思います。 人は、その本質的な自分を大切にしないことには、生きる喜びが感じることができない……そういう山川さんのメッセージを感じました。 「ニゴリ」「ニジノセカイ」という山川さんらしい、新しい概念もすごくピンときました。 サスペンス仕立てで、「エンターテインメント」になっているので、山川さんのメッセージは、読者にそれと気づかれず、じわじわと伝わるのではないかと思いました。
こちらこそ、ごぶさたしております。「魂」を触れ合わせることができる相手を求めて、誰もが日々の時間を送っているのだと思います。PS. 私信の部分は削除してあります。

名前= GF
性別= Men
年齢= 29
好きな場所= 自分もしくは恋人の部屋
山健の最近作で好きなもの= ジーンリッチの復讐(メディアファクトリー)
どんな本を読みたいですか?= 長編小説
感想= 昨日読み終えました。 会社のお昼休みにあまりに天気がいいものだから自転車で奈良公園(鹿がいるあの奈良公園です)にいっておにぎりを食べながら読み出しました。 ものすごく気持ちいい気候で風はすこしだけあってipodからストーンローゼスのふりそそぐような音楽が流れていました。 物語はあと三章ほどあり、どんどん佳境にはいっていった。 サキの刑務所からの手紙でおもいっきり泣いてしまった。 キラキラする太陽の下で近くにはお弁当を広げた家族連れとかいるのに…。かなり浮いていたと思います。 でも、そこは男の子なので、恥ずかしそうにしながらもドードーと泣き、最後まで微動だにせず、読み切りました。 ひさしぶりに格好いい読み方をしたな、と自己満足しています。 希望がある小説っていうのはうれしさを運んでくれますね。 うれしさをありがとうございました。
奈良公園かあ。ずいぶん前に行ったことがあるよ。しかし、男らしい読み方だね。具体的に読んでるシチュエーションを伝えてくれて、書いた者としては、なんか感動したよ。

名前= KM
性別= Women
年齢= 24
好きな場所= 夜の海辺
山健の最近作で好きなもの= 死ぬな、生きろ。(小学館)
どんな本を読みたいですか?= 恋愛論
感想= わたし、彼と別れたばかりです。具体的に浮気したとか、そういうことが理由ではなく、おたがいに相手を前のように大切にできなくなったから。そんな日々を送りながら、「歓喜の歌」を読んでいくると、やっぱり別れたばかりの自分たちのことを考えてしまいました。そして、とても救われた気がしたのです。大切なことは、相手にたいして何が足りなかったのかと後悔することではなくて、今の自分にとってなにがかけがいのないことなのかを探すことだと思えたのです。沙希も高村も歪んでいるし欠けているのだと思います。でも、誰もがみんな少し歪んでいるし欠けている。だって、そうでないと生きていけないから。わたしは、年令のわりに小説とかよく読むほうだと思うのですが、こんな小説は初めてでした。文章だけで(絵とか音楽なしにという意味です)こんな世界を作ってしまうなんて、小説ってすごいと思いました。というか、山川さんってすごい!
小説ってものは、誰が考えたのか知らないけど、すごいよね。

名前= Kanae
性別= Women
年齢= 27
好きな場所= 都市のバックストリート
山健の最近作で好きなもの= 死ぬな、生きろ。(小学館)
どんな本を読みたいですか?= 長編小説
感想= 「歓喜の歌」、読んで、癒されました。でもそれは、別にエンターテインメントだったからとかいうことには関係なく、私は以前から山川作品に接するとほっとしてました。主人公も優しいけど、これを書いた山川さんってとても優しい人なんだろうなと思いました。会ったことないからわからないけど、きっとそうだと思う。つまり私は作品もそうだけど山川健一自身が好きってこと。ベストセラー作家になって英語版をミックにプレゼントしたいって書いてましたよね。この本が多くの読者に恵まれることを祈ってます。
前は「怖い」とか「スケベェ」だとか言われたものだけど、この頃は優しいって言われることが多くなってしまって、もう1度愛と官能の日々を送りたい……って、これは冗談だよ。

★引き続き感想をお待ちしております。山川健一